子持ちペダル

横浜市在住のロードバイク乗り。仕事と子育てと趣味をいい感じにできたら

mudmanをシングルスピード化しようとしたら地獄でした

シングルスピード用のホイールを組んで貰いました。


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ホワイトインダストリーから『エキセントリックハブ』という製品が出ており、これを使うとロードバイクなどギアードの自転車をシングルスピード化できます。

僕と同じようにシングル化を希望するユーザーは少なからずいて一般的な方法のようです。

 

ニワカの僕が試してみたいのは、

①SSCX(シングルスピード・シクロクロス

②固定ギアでスキッド

③シングルスピード or 固定でロングライド

④バイクロアでトラッククロスに参加

です。

 

これらはずっと気になっていて周囲に詳しい人もいないので、自分でお金と時間をかけてやってみるしかない。

気に入らなかったらロードをピスト化して練習用のバイクにすれば良いし、最悪、売ってもいいかと。

 

◼️ホイール構成

・ハブ:WHITE INDUSTRIES eno eccentric hub

・リム:HED belgium plus

・スポーク、ニップル:Philwood

 

フロントのチェーンリングは楕円はNGなので変更する必要があります。

現状の38Tから42Tにしました。

チェーンリングはある程度大きい方が見た目が格好良い気がして、このチョイスにしました。


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また仮に今後ギアードに戻すとしたら、42T×11-32Tにするとかなり良い感じ。これならロード的な遊びも十分こなせそう。

 

SSCXはギア比2.0位の人が多いようなので、リアは20/22Tとします。

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WHITE INDUSTRIESの 『dos eno double free』という歯が二枚付いているフリーコグ(スプロケのことをコグと言います)にしてみました。

 

これならギア比は2.1 or 1.9となり、普段は42T×20T(ギア比2.1)で、ロングライド時は42T×22T(ギア比1.9)と使い分ければ良いかと思っていたら、後々この選択で大変な目に逢うことに。

 

■重量

タイヤを外した状態でホイールは交換前、交換後も1.3㎏(キッチン測りでは1㎏以上はエラーなので体重計で測定)。

ディレーラー、ケーブルなどは240gだったので、一応240gの軽量化となります。

 

◼️エキセントリックハブの取り付け

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エキセントリックハブ(以降エキセンハブ)には鼻の穴のように二つ穴があります。

左のねじ穴がホイールの回転軸で、ここを軸としてホイールは回転します。

右のねじ穴は固定軸で、写真では固定用のナットがついてます。ここでホイールをフレームに固定します。


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ハブを固定軸を中心に反時計回りに四方向に回転させた際の図となります。

左の青丸がホイールの回転軸、右白が固定軸としています。

ハブの回りの円はコグで、オレンジの線はチェーンとなります。

 

このように、エキセンハブを回していくとホイールは白丸の固定軸を中心に、青丸の回転軸が移動し、合わせてコグの位置も移動していきます。(円軌道を描いて行きます)

この円軌道のどこかでちょっとしたチェーンのたるみが取れる仕組みです。

 

モンキーレンチをハブ軸にあて、ハブを回転させ調整し、チェーンのたるみが取れたところでアーレンキーで固定します。クイックリリースは使いません。

なのですが、これが一筋縄では行きませんでした。

 

◼️トライ①

ピストバイクのトラックエンドは水平方向にのみホイールの固定位置を移動させますが、エキセンハブは円軌道を描いてホイールの固定位置が移動するので、当然、垂直方向にも移動します。

するとチェーンのたるみが取れる位置でも、ホイールが上すぎたり、あるいは下すぎたりするとブレーキシューが当たらなくなります。


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つ、伝わるかな??コグが上に来るということは、当然ホイール全体が上に来るのでリムの位置も上に来てしまいます。するとブレーキが当たらなくなります。


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上が正しいリム位置。下はブレーキが当たらない悲しい位置。belgiumのブレーキリムが細いのも問題を難しくしているのかもしれません。

 

分かったのは、エキセンハブは『チェーンのたるみが取れる位置とリム位置のせめぎあい』ということ。

 

42T×22Tだとギリギリたるみが取れブレーキも当たりましたが、42T×20Tはどうしても上手くいかない。結局ショップに持ち込みました。

しかしプロの手を持ってしても42T×20Tは付かない。20T使用時と22T使用時でチェーンを別にするつもりで詰めてみてもNG。マジか。

ショップの店員さんも困ってました。

 

フロント42Tという多目の歯数が悪さをしている訳でもなく、これはチェーンステイの長さやブレーキの取り付け位置に関係するので『エキセンハブとフレームの相性が悪い』そうなのですが、そんなこと言わないで、俺はこの自転車が大好きなんだよ。

 

◼️トライ②チェーンリングを替えてみる

次のトライは『40T×20/22T』です。

40T×20T(ギア比2.0)はOK

40T×22T(ギア比1.8)はNG 

おいおい、嘘でしょ!?

 

文章で書くと簡単ですが、ここまでチェーンを切って一コマ詰めたり、つぎは二コマ加えて繋いで試したりしてます。

チェーンリングを40Tに変えてトライするにあたっては、店員さんのバイクが40Tのチェーンリングだったのでそれを使わせてくれて、でもPCDが異なり(僕のは5アームの110PCD、店員さんのは5アームの130PCD)、クランクごと引っこ抜いて、と冗談のような大作業。そして僕のrotorクランクはBBが専用なので、店員さんのクランクはそもそも付かないという鬱事態に。


店員さんは「ある程度は妥協して頂くしかないかも」と、かなり弱気になってきましたが、『いや、シングルスピードなんて伊達と酔狂でやってみるんだし、使えない二枚歯のコグがあっても』と次のトライ。

この辺から本気が出てきました。

 

◼️トライ③コグを替えてみる

次は『42T×21T(ギア比2.0)』でトライ。

こちらは同じホワイトインダストリーの一枚歯のフリーコグ。『eno single freewheel』

これはギリギリOKでした。

 

他の選択肢として『9速チェーンで半コマを使う』というものもありそうでしたが、それはどうなんだろ・・。結構動きが悪いとも聞くし。

 

どうしても20/22Tを使い続けたい訳ではないので、結局21Tをお買い上げしました。

二時間くらいお付き合い下さったショップの店員さん、本当にありがとうございました。

『ありがとうございました。勉強になりました』(僕)

『僕もです。勉強なりました』(店員さん)

 

モノづくりの世界では試作レスが唱われますが、この辺のニッチな自転車の調整は机上検討無し、やってみて調整しなんとかしてみるDIY世界。

今回は最後の最後でブレーキの当たり角度を上手く調整して貰いました。これ僕一人では出来なかった。

 

◼️まとめ

僕のmudmanはエキセンハブでシングル化しようとしたら以下のようになる事が分かりました。

42T×20T(ギア比2.1)はNG

42T×22T(ギア比1.9)はOK 

40T×20T(ギア比2.0)はOK

40T×22T(ギア比1.8)はNG 

42T×21T(ギア比2.0)はOK。これを採用。

 

また今後、固定用のトラックコグも試してみたいのですが、こちらのギア比はどうしよう??悩みます。

今の組み合わせのチェーン長は分かります。

新規の組み合わせのチェーン長が算出できれば、これらの差分は分かります。

差分に対して、追加する or 詰めるコマ数も算出できるはずですが、最後に残った数値(今の組み合わせに対して⚫mmチェーンが余る)で判断できるものかしら?

 

今回の学びとして、エキセンハブでホイールを組むなら、購入時にショップでギア比に関して相談に乗ってもらい、調整までちゃんとお願いすることがマストとなります。またチェーンは10速、ミッシングリングも持っていた方が良いです。
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Steel Era Mudman Single Speed。

なかなかシンプルな見た目になりました。

 

走ってみた感想としては、確かに同じギア比でもディレイラーやプーリーのあるギアードとは違うような気がします。

特に走り始めのスピードが乗る前に踏み込むとき、ヌルっと、あるいはスコンとペダルを踏み込める気がします。

(と言ってもそんな気がするだけで、目隠ししたら分からなそうですが)

 

ここまで来るのにかなり疲れてしまいましたが、まずはこれから次のシクロクロスのシーズンまで乗り込んで、レースにも出てみたいと思います。

またチェーンが伸びる事に対する調整の手間(というか今でもギリギリなのに調整できるのかしら??既に心配でしょうがないです)、輪行の手間など気になる事は沢山あるのでまた後日レビューします。

 

(2019/2/9追記)

ブレーキシュー位置の調整に関して、先日ブルーラグでこんな記事を見ました。

bluelug.com

このPAULの『motolite V-brake』を使えばシュー位置を上下に広く調整できそう。

その場合、制動力がどのくらい変わってくるか、またタイヤの位置によっては今度は泥詰まりが気になってきますし、わざわざここまでやるか?という気がしなくもないですが、カンチ車をエキセンハブでシングル化をする場合、この選択肢はかなり有効な気がしました。